楽しまなきゃ

この前やった『僕ダム』で演じたのは中学校の先生という設定だったんだけど、なんと!その後本当に中学校で先生をやってきました。
ある中学校で国語の授業に劇を取り込んでいる先生がいらっしゃって、その指導に呼ばれたんです。


10分程度の劇。もらった練習時間は5時間。演出なんてやった事ないし、中学1年生との接し方なんて知らない。これはあんまりのんびりはしてられない。


最初の授業。
まずは自己紹介。それぞれのあだ名を教えてもらう。けど恥ずかしがって教えてくれない。
ああ思春期。
けど無理やり聞き出したり勝手につけたりして最初のコミュニケーションをとる。
その後1回読んでもらう。ところが読めない。漢字が読めない。コラー!事前に台本もらってたんだろ。読んで調べてきなさい。
いやいやいや。彼らは役者じゃないし学校は教えてもらう場所だから仕方ないか。
みんなのキャラクターも知りたいし少し話をしてみよう。なんてやってたらチャイム。1回目の授業終了。あっという間。みんなセリフ覚えてきてね〜。


2回目の授業。
動きを付けていく。けどセリフ覚えてね〜。
自由に動かしてみる。動けね〜。
漢字の読みはこの前教えただろ〜。
全然進まない。


3回目の授業。
前回と同じ。予定通りに進まない。


そうこうしているうちに最後の授業。
なんとか最後まで動きを決めて通してみる。
グダグダ。
セリフもあやふや。
あぁ、このまま人前に立たせるのは可哀そうだ。けれども幕は開くのだ。復習しておいてねー。


そして発表の日。
さぁどうなるんだ。もう僕に出来る事はないぞ。直前にみんなを集めて声をかけてあげる。とにかく集中してやるんだ!


ドキドキしながら開幕。ところが始まってみるとびっくり。みんな出来てる!練習で見せなかった表情とかしてる。僕が言ってない事までやってる。観客の生徒達も笑ってるし伝わってる。
やればできるじゃないか!
子供達の集中力の高さにビックリです。我が子を見るような満面の笑みで見させてもらいました。


後から聞けば放課後などに集まって自主練習してたんだとか。すごくうれしかった。子供達も少しは楽しんでくれたんじゃないかな。


すごくいい経験ができました。芝居の基礎以前の、もっと根本みたいな事を考えられた。短い期間だったけどすごく楽しかった。
みんなはすぐに忘れちゃうんだろうな。けど記憶に残らなくても経験として彼らの成長の一部になれた事が、なんだかすごく誇らしいです。
もっと自分達で考えさせればよかった。きっともっと楽しませることができたと思うし、それが僕なんかが出来る教育なんだったと思う。
また機会があればやってみたいな。